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『―――っ?!』
「「ひっ?!」」
突如厳正から発生した全身に纏わり付く殺気に、一般の合格者達の身体は震え始め、アッシュとガリアは短い悲鳴を上げる。
そして厳正は、殺気に中てられてすっかり萎縮した2人の元へ歩きながら話し掛ける。
「ずいぶん好き勝手言ってくれましたね……何度も同じことを言うのは億劫ですが、僕は本試験に不正介入する程のお金は無いんですよ。それに何より、アンタ達はスカイハートさんのことを馬鹿にした!!それだけはどんな奴だろうと僕が許さない!!」
「う、うるせえんだよこのクソガキがぁぁ!!」
アッシュは厳正の心の叫びに対して返答とも呼べない言葉を発し、再度厳正に殴り掛かった。
そんなアッシュの拳を厳正は当たる寸前まで引き付けてから回避、そのまま流れるような動きで自分の身を180度反転させ、アッシュの腹と自分の背中が密着するような姿勢をとった。
前準備が終わった厳正はここから反撃に転じる。
まずは向かって来るアッシュの拳の手首をピンポイントで掴む。
次に左足でアッシュの左足を払う。
そして最後に敵の勢いを利用しm背負い投げの要領で体を半回転させて一気に床に叩き付けた。
「がはっ!!」
一瞬の出来事にアッシュは受け身も取れずに床に叩き付けられ、肺から空気が強制的に排出された。
『………………』
目の前で起こった出来事が信じられない受験者達と試験監督達は、目を見開いて厳正の動きを見ていた。
無論それはガリアも例外ではない。
(あ、アッシュが投げ飛ばされた?あんなガキに?!何で……どうやって……!?)
柔道と合気道を知らないガリアは、ただひたすらにアッシュが投げ飛ばされたという事実に困惑していた。
そんな中厳正は試験監督の1人に話し掛ける。
「えっと……襲い掛かって来たから投げちゃいましたが、これって正当防衛になりますか?」
「あぁ。もちろんだ。」
髭の試験監督は即答した。
「そうですか!安心しました。」
そう答えた瞬間、厳正の目から圧倒的な感覚で発せられていた年相応のものへと戻り、会場中に発せられていた重い雰囲気は霧散し、受験者達はようやく重圧から解放されたことで溜息を吐く。
そんな中厳正は、自分の足元で動けないでいるアッシュに呟く。
「柔よく剛を制す。戦いはただ力が強ければいいってものじゃないんですよ?」
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