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厳正の言葉を耳にしたその瞬間、彼の中に存在していたプライドは全て粉々に砕かれた。
その結果、アッシュは床に叩きつけられたまま、厳正に対して何も[返せなかった]。
何せ絶対的な自信を持っていた自分の強力が通じず、二撃目は攻撃を完璧に見切られ、果てには何の抵抗も出来ずに床に叩きつけられたのだ。
そうなるのも無理は無かった。
形容し難い虚脱感に襲われるアッシュに厳正は見向きもせず、もといた端に歩を進める。
そんな時、会場の外から中央魔導師軍第一部隊隊長、ベルデ・クラッチフィールドが会場に入って来た。
ベルデを視認した、厳正を除く会場中の全員はベルデに敬礼をする。
彼らの視線を集めながら、ベルデは懐から1枚の紙を取り出し、受験者達に表面を見せてから口を開く。
「アッシュ・グランツ。ガリア・クリム。以上の2名が試験に不正介入していることが判明した。よって今回の試験における2名の合格を取り消し、不合格者の中で最も成績が良かった2名を繰り上げて合格とし、容疑者2名の身柄を拘束する。」
ベルデが逮捕状を読み上げると、試験監督達は即座にアッシュとガリアの身柄を拘束した。
といっても、アッシュは厳正にプライドを砕かれ放心状態。
ガリアは厳正の発していた殺気にすっかり竦み(すくみ)上がっていたため、拘束するのはかなり簡単だった。
その様子を視界の隅に捉えたベルデは体を180度回転させ、会場の出入り口に向けて歩き始めた。
それに続き、アッシュとガリアを捕らえた試験監督も会場の出入り口に向かって歩く。
「い、いやだ!!僕は不正介入なんてしていない!!離せぇぇぇ!!」
ガリアの叫びも虚しく会場の出入り口の2枚扉が閉まり、2人の姿は会場から消えた。
『はぁ……』
困った2人が会場から消えたことで、受験者は一斉に溜め息を吐いた。
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