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「遅かったね兄さん。」
「クラウス……面倒事を請け負った兄に対してその言葉はないやろ。」
「そんなことは関係ない。俺が言っているのは、兄さんは何をするにも時間をかけすぎだって言ってんだ。」
「何でもかんでも早うやったらえぇっちゅう訳でもないやろ。」
「45を超える男が物事をゆっくりと時間をかけてあたっていては、ただの中年のオッサンだ。」
「冷たいのぅ……」
ベルデは弟からの精神攻撃に少々傷付きながら、一番近くの空いている席に座った。
それを確認した第三部隊隊長であるザント・グランツが口を開く。
「すまなねぇなベルデさん!!本来なら俺らが行くべきことなんだがよ!」
「……別に気にせんでえぇ、誰でも身内の罪を暴くんは抵抗があるもんじゃ。」
「そっすか!そう言ってくれっとありがてぇ!!」
ザントがそう言うと、今度は第四部隊隊長であるマリア・ファーブルトンが口を開く。
「しかし大貴族から2名も不届き者が見つかるとは……困ったものですね。」
「所詮は分家が勝手に起こした事件だ。我々宗家には関係のないことですよ。」
そう言ったのは第七部隊隊長であるアラン・クリムだった。
そんなアランの発言に、第五部隊隊長であるブロア・クリムが発言する。
「まぁアランの言う通りだな。この件に関しては俺ら宗家には関係ねぇ。」
(まったくこやつらは……確かに大貴族に分家と宗家の格差があるんは今に始まったことやないけども、ご先祖様は同じ人物のはずじゃろ……まったく責任感じへんっちゅうんは間違いやないんか??)
ベルデが半ば呆れてそんなことを考えていると、今度は第六部隊隊長であるマーク・グランツが口を開く。
「んなことより早く準備しろよ。そろそろ俺達も会場に行く時間だぞ。」
マークの発言に反応し、ベルデは腕時計を見た。
「おぉ、もうこんな時間か……ほんなら行こか。」
ベルデがそう言って応接室の扉に向かって歩き出すと、他の部隊の隊長はそれにに続いた。
ベルデが仕切っていることには何の講義もせずに―――
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