第一章 少年魔導師

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第一から第七までの部隊長と総大将が舞台上に揃ったことで、会場の雰囲気は途轍もない緊張感で満ち溢れていた。 何故魔導師軍の最高幹部である彼らが舞台上にいるのかというと、それは魔導師軍入隊試験の合格者達がどの部隊の所属になるのかを、部隊長である彼らが直々に発表するからである。 といっても入隊人数は1部隊60人と多い為、名前を呼ぶのは1位~6位までとなっており、あとの者達は魔導師検定試験の合格発表の際に使用した魔力モニターに、受験番号だけ表示されるという形になっている。 加えて言うのなら、部隊長7名で試験中から、あの受験者が合格した場合はウチの部隊が―――という話し合いをしている為、スポーツのドラフト会議のような1人の人間を多くの部隊が同時に指名するということは無い。 ちなみに会場の舞台から離れた入口付近には、先程までは部屋の外で待機していた、5年後10年後の魔導師軍を担っていく者達の情報を得るために集まった大勢のマスコミが所狭しと並んでいる。 そんなマスコミの気持ちを察し、進行役の男は舞台袖にあるマイクを手に取り、舞台の端に現れた。 「えーそれではただ今より、第1598回魔導師軍入隊試験合格者達の所属部隊を発表を開始いたします。それでは第一部隊隊長べルデ・クラッチフィールド様、上位入隊者6名の名前を発表してください。」 男がそう言うと、ベルデは座っていたイスから立ち上がり、舞台中央にある机の上に設置されていたマイクの位置まで歩いた。 「えーほんなら、今から儂の率いる第一部隊への上位入隊者6名の名前の発表を行う。」 ベルデはそう言って懐から封筒を取り出し、中にある紙を取り出す。 「まず第1位、受験番号1211015・大神厳正。」 ベルデが厳正の名前を読み上げるのと同時に、集まった多くのテレビ局のカメラが会場の隅にいた厳正に集中する。 そして3分も経たない内に厳正の周りにはマスコミが現れ、その姿は舞台からは全く見えなくなった。 そんなマスコミ達の対応を試験監督達が行う中、ベルデはそんなことはお構いなしに、残り5名の上位入隊者を次々と発表していった。 そんなベルデの声を聞いて、マスコミ陣はまるで操り人形のように、会場を右往左往し始めた。 **************************************
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