第一章 少年魔導師

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フェイトが診察を受けている頃、厳正はようやくひと段落ついたマスコミの対応に安堵のため息を吐いていた。 「や、やっと終わった……」 {それもマスターが優秀だからこそじゃないですか。} 〈ラグナロク〉にそう言われ、厳正は深々と溜息を吐く。 「冗談じゃないよまったく……あまりの人の多さで圧死するかと思ったよ……」 厳正は半分本気でそんなことを口にした。 「大丈夫だった?」 そう言ったのは、魔導師検定試験と魔導師軍入隊試験の両方で2位に入った、エレナ・マリア―ジュだった。 「全然大丈夫じゃありませんよ……」 「アハハ……ま、まぁ君が成し遂げた快挙がそれだけすごいってことだよ。」 エレナは苦笑しながらそう言った。 「快挙って……僕とあなたの点差なんて10点も無いじゃないですか。」 「うーん……例え点差が少ししか無くても、高得点と満点は違うんじゃないかな?」 「まぁ……確かに……」 厳正がエレナの言葉に納得していると、2人の元にベルデとマリアが歩いて来る。 「よぉ、今回の2大試験のツートップ。」 「べべ、ベルデ・クラッチフィールド隊長!!?」 突然のベルデの登場に、エレナは焦りながら敬礼する。 「マリアージュさん、そんなに緊張しなくても大丈夫よ。」 「その通りじゃ。こんな45を越えるオッサンに敬礼なんぞしとったら笑われるぞ。早うその敬礼やめぇ。」 「は、はあ……」 エレナはベルデに言われるがまま敬礼を止め、気を付けの状態に戻る。 それを確認したベルデは2・3度頷き、今度は厳正に話し掛ける。 「しっかしまぁ、両試験とも満点で合格とは……とんでもない事しよったのぅ!」 「例の夫婦のお陰ですよ。知識も戦闘方法も、この1ヶ月で骨の髄(ずい)まで叩き込まれましたから。」 「「例の夫婦?」」 厳正の言葉に、エレナとマリアは同時に首を傾げた。 頭の上に疑問符を浮かべる2人に対して、厳正は《念話》でベルデに最良の方法を聞こうとする。 (ベルデさん。この2人にどう言えばいいんですかね?) (知らん。) (それ、答えになってないですよ……) 厳正はベルデに弱めのツッコミを入れると、2人の方に向き直る。 「はぁ……ここだけの話にしてくださいね。」 厳正は念を押してから2人の耳元で囁いた。 直後、会場に2人の絶叫が響き渡った。 **************************************
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