第一章 少年魔導師

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「―――以上の7つの項目を検査したけれど、その全てが正常値だったわ。」 遥か遠方で甲高い叫び声が生まれた頃、第四部隊のエリートはフェイトとイリーナに向かってそう言った。 彼女の声を聴いたフェイトの表情が明るくなる。 しかしそんなフェイトに彼女は釘を刺す。 「喜んでいるところに申し訳ないけれど、今回の検査は全て魔力関連のモノだから、全ての検査数値が正常値内であるのが当然なのよ。自分でもその自覚はあるでしょう?」 「はい……」 痛いところを突かれたフェイトの表情は暗くなり俯く。 そんなフェイトに彼女は言う。 「でも今回の検査が全て正常値であることは確か、だから通院は今日でおしまいよ。」 「本当ですか?!」 「ただし!まだ1週間は魔力の使用を極力控えて、激しい運動は絶対禁止!これだけは必ず守る事、いいわね?」 「はい!」 フェイトは元気よくそう答えた。 ************************************** 「通院も終わってよかったわね。」 「はい……と言っても、まだ制限がいっぱいありますけどね……」 そんなフェイトを見て、イリーナは溜め息を吐く。 「もう少し素直に喜んだらどう?これで晴れて病院通いから卒業なんだから。」 「……頭では分かっているんです……でも、まだ自主練習も出来ない体調なのにって思っている自分もいるんです。」 フェイトは苦笑しながらそう言う。 (ジオルグやベルデから大神君とお話しして以前よりは明るくなったとは聞いてたけど……まだまだお堅いわねぇ……そりゃあ年が幼すぎるからっていうところも少しはあるでしょうけど……) イリーナがそんなことを思っていると、突然イリーナの頭にイイ案が浮かんだ。 「ねぇフェイトさん、実はこの後私第一部隊の新人達を見に行くつもりなんだけど……アナタも乗っていかない?」 フェイトの歩みが止まった。 おそらく今フェイトの頭の中では、「大神君に合格おめでとうを言ってあげよう!」という素直な気持ちと、「こんな魔法も使えない状態で魔導師として会うなんて……」という恥ずかしさと生真面目さがない交ぜになった気持ちが、ものすごい勢いで回っているのだろう。
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