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そんな中、イリーナの[武器]である〈エルアーク〉は《念話》でイリーナに話しかける。
(マスター、9歳の女の子への対応にしては、少しやり口が卑怯なのでは??)
(普通の女の子ならね。でもこの子は素直な気持ちを心の奥に隠すことを覚えてしまっている……そんな子の素直な気持ちを表面に出させる為には、これくらいしなきゃ埒が明かないわ。)
イリーナは〈エルアーク〉にそう言い切った。
そんな会話をしていることなど知らず、フェイトは悩み続ける。
そしてタップリ7分も悩んだ末にフェイトが選んだ選択肢は―――
「…………………………乗せて下さい……」
「そう来なくちゃね。」
イリーナは笑いながらそう答え、病院の正面玄関を後にする。
玄関前にはイリーナの車と、その車の前に立つ警備員がいた。
イリーナが近付いて来たことを視認した警備員は敬礼しながら言う。
「ご苦労様であります!言われた通りに車を回しておきました!」
「えぇ、ご苦労様。」
イリーナはそう言って警備員から車のキーを受け取る。
そして鍵を開けると、助手席のドアを開けた。
「さぁお姫様、どうぞお乗り下さい。」
「わ、私はお姫様なんかじゃないです!!」
[お姫様]というワードを耳にして、フェイトは顔を少し朱に染めてそう言う。
そんなこんなでフェイトは車に乗り込みイリーナは運転席に座り、エンジンをかける。
「それじゃあ、お姫様を王子様の元へお届けするわね。」
「大神君と私はそんな関係じゃありません!!」
「あら。私は王子様が大神君だなんてただの一言も言ってないわよ?」
「―――っ!!!!!!」
完全に墓穴を掘ったフェイトは、これ以上無い程に顔を真っ赤に染めた。
そんなフェイトを乗せ、イリーナの運転する車は一路、第一部隊の隊舎へ向かう。
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