第二章 理想と現実

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フェイトが隊舎の自室に着いた頃、ベルデか乗る車と、厳正達入隊者達を乗せたバスが、駐車場に到着した。 バスを降りた厳正達は、ベルデを先頭に、第一部隊の隊舎へ足を踏み入れた。 「うわぁ…」 「すげぇー…」 入隊者のほとんどが、そんなことを感嘆の声を発していた。 浮き足立つ入隊者達を余所に、厳正は表情1つ変えずに、自分達を見る第一部隊の隊員達を見ていた。 そんな中、ベルデは立ち止まり、厳正達の方へ振り向いた。 「さて、入隊者諸君。これから君らには、[魔導師証]と[魔導師軍手帳]の2つの証明証を発行してもらう。じゃが、60名全員を一か所に集めると時間的に効率が悪いんで、今から君らを、10人1組の5つの班に分ける。班分けは1回しか言わんので、よう聞いとくように。」 ベルデはそう言うと、合格者発表の際に使ったリストが入った封筒を、懐から取り出し、適当に名前を呼び始めた。 厳正は1班だった。 ************************************** 厳正達が5つの班に分かれて行動している頃、フェイトは居住スペースを歩いていた。 {マスター。大神殿はすでにロビーにて班分けをしていますよ?急がなければ。} <ルーンフェアリー>にそう言われたフェイトは、困った顔で答える。 「わ、分かってはいるんだけど……足が思うように進まなくて……」 {やはり病み上がりの身体に、長距離の運動はまだ無理なようですね。} 「う、うん。そうみたいだね。あはは……」 フェイトは、自分がイリーナに話した甘い考えを恥じらいながら苦笑した。 その後、2分もしない内に、フェイトは自分の部屋にたどり着いた。 フェイトは、服のポケットから魔導師軍手帳を取り出すと、自室の扉の横に備え付けられているタッチパネルに、開いた状態で押し当てた。 短い電子音の後、部屋の扉が開いた。 部屋の中は質素な作りで、オシャレなど、欠片も存在していなかった。 そして部屋にはベッドが2つ存在しているが、部屋の表札には、フェイトの名前しかなかった。 フェイトは、部屋に備え付けられた唯一のタンスを開け、中にかかっている軍服を取り出し、2つあるベッドの片方に置いた。 「うんしょ……」 フェイトは、軍服に着替える為、退院前にイリーナから貰った、女の子らしい服を脱ぎ始めた。 **************************************
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