第二章 理想と現実

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「はい。これが君の魔導師軍手帳よ。中には身分証明となる第一部隊のエンブレムが入っていて、隊舎の居住スペースにある自室の電子キーにもなるから、無くさないようにね。」 妙齢の女性はそう言って、厳正に魔導師軍手帳を手渡した。 「ありがとうございます。」 厳正は軽く会釈をしてから、手帳を受け取った。 手帳の中には、少し緊張した顔つきの厳正の証明写真が写っていて、その下には、重厚な作りのエンブレムが埋め込まれていた。 厳正は中身を確認すると、手帳を魔導師証が入っている内ポケットに入れた。 「さて、では集合場所に移動しますので、私の後について来て下さい。」 1班の案内係を任された隊員は、1班最後の入隊者である厳正が、手帳を受け取ったことを確認すると、そう言ってから移動し始めた。 ************************************** 厳正が集合場所に移動している頃、フェイトは鏡の前で、服の乱れを直していた。 「う~ん……これでいいかな?」 {はい。問題ないかと。} 「よし…!じゃあ行こっか!」 <ルーンフェアリー>からのOKも出たことで、フェイトは軍服の内ポケットに、魔導師証と手帳を入れると、部屋を後にした。 部屋の中の生体反応が消えたことで、部屋はオートロックがかかった。 「大神君達の集合場所ってどこだっけ?」 {第3トレーニングルームです。} <ルーンフェアリー>がそう言うと、フェイトは少し笑った。 「結構近くだね。」 {今のマスターにとってはありがたいですね。} 「そうだね。」 フェイトは<ルーンフェアリー>と雑談しながら、第3トレーニングルームに向かった。 ************************************** そのころ、第3トレーニングルームには、ベルデとベルデの魔術師達がいた。 まだ入隊者達は1人も到着しておらず、室内は静かだった。 ベルデが暇潰しに背伸びをしていると、ベルデの目の前に、中央に[CALL]と表示された魔力モニターが現れた。 「む…誰じゃ?」 ベルデはそう言いながら、表示された[CALL]の文字を押した。 魔力モニターに映し出されたのはジオルグだった。
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