第二章 理想と現実

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軍服に着替えたフェイトは、一路第3トレーニングルームに向かって歩いていた。 その途中、フェイトは<ルーンフェアリー>に話しかける。 「ねぇ、<ルーンフェアリー>。」 {何でしょうか?} 「やっぱりべルデ隊長は、今回も:アレ:をやるつもりなのかな…?」 {十中八九そうでしょうね。そうでなければ、わざわざ入隊者の方々を、一番壁の装甲が厚い第3トレーニングルームに集めませんよ。} フェイトの質問に、<ルーンフェアリー>はそう答えた。 「あはは…やっぱりそうだよね……」 フェイトは苦笑しながらそう言った。 ************************************** 厳正が第3トレーニングルームに入ったのは、60人の中で最後だった。 (集合場所って、ここのことだったんだ…!!) (マスターが入院する前ですから、1ヶ月ぶりですね。) (そうだね。……でも、どうしてここが集合場所なのかな?) (さぁ…私にも分かりかねます。) 厳正と<ラグナロク>が、《念話》でそんなことを話していると、入隊者達の前に向かい合わせで立っている、ベルデの魔術師の内の1人が、口を開いた。 「ゴホン!!入隊者は速やかに、班ごとの一列縦隊で整列!!」 魔術師のその一言で入隊者達は班ごとに集合し、適当に縦一列に並んだ。 それを確認した魔術師は、続けて叫ぶ。 「それではこれより、我々第一部隊の隊長であらせられる、ベルデ・クラッチフィールド様から、諸君らにお話があるので、よく聞くように!!」 『はい!!!』 入隊者達がそう返事をすると、ベルデが口を開いた。 「ゴホン!!入隊者諸君、儂が第一部隊の隊長を務める、ベルデ・クラッチフィールドじゃ。まずは入隊おめでとさん。諸君らを儂らは歓迎する。」 ベルデは、そこで一度間を空け、再度話しはじめる。 「さて、儂が率いる第一部隊は、魔導テロ組織や、凶悪犯罪者といった危険因子を逮捕、または始末するのが仕事じゃ。そして今現在、アイルンバートやバハムートを中心に、巨大テロ組織が暴れ回っとる。つまり、必然的に諸君らにも、遠くない未来、そのテロ組織と相対してもらうことになる。」 ベルデの言葉に、入隊者達はざわつき始めた。
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