第二章 理想と現実

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「お久しぶりね大神君。あの事件が起こった後すぐに会って以来だから……丁度1ヶ月ぶりくらいかしら?」 自分を見て驚く厳正に、女性は微笑みながらそう言った。 「ローズ、お前大神君と面識あるんか?」 「えぇ、フェイトさんのお見舞いへ行った時にね。」 ベルデにローズと呼ばれた女性は、そう答えた。 厳正はその様子を、不思議なものを見るような目で見ていた。 「ベ、ベルデさん…あなたとこの人は知り合いなんですか??」 「ローズ……面識あるんちゃうんか?」 「少しお話をして、バラを一輪あげたら、すぐにこの子がどこかに行ってしまったから、お互いに名前も名乗ってないのよ。」 「そりゃ面識あるとは言わへんやろ……」 ローズの回答に、ベルデは三白眼になりながらそう言った。 「そうかしら?お互いの顔を知っているんだから、面識はあると言えるんじゃないかしら?」 「まったくお前は…ほんなら今この場でさっさと自己紹介してまえ。」 ベルデは呆れ顔でそう言った。 「それもそうね。」 ローズはそう言うと、厳正の方へ向き直って、口を開いた。 「私の名前は、ローズ・クラッチフィールド。第一部隊の副隊長であり、ベルデの妻よ。」 ローズの自己紹介が終わると、厳正は、驚きで5秒程度固まった。 そして、厳正は叫ぶ。 「えぇぇぇぇぇぇっ!!???」 ************************************** 厳正が、ローズの正体に驚いている頃。 某世界の某所にある城では、ベルデ達魔導師軍が、その存在を警戒している、巨大テロ組織・[自由]、その幹部である[十三刃]が集まっていた。 [十三刃]が集まっている部屋は、円卓が設置してあり、その中央には、かなり大きな杯(さかずき)が置いてあった。 全員が集まったのを確認した少女は、高飛車な口調で喋り始める。 「皆揃ったようね。では、そろそろ始めるとしましょうか。」 少女はそう言うと、自分の左手を前に突き出し、そこから、自身の黒い魔力を放出した。 そして他の12人も、少女に倣い、自身の利き手を前に突き出し、自分の魔力を放出した。 すると、円卓の中央にある杯が光りだし、この場にいる13人の魔力が、杯に吸い寄せられ、杯に虹色の炎が灯り、部屋を明るく照らした。
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