第二章 理想と現実

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虹色の炎が、[十三刃]らの身体を照らし出すと、少女は口を開く。 「さて…まずは、同志クロス・ディサイド。貴殿の復調、まことに大義である。」 少女がそう言うと、白衣を身に纏い、眼鏡をかけた男が立ち上がり、立礼した。 立礼を終えたクロスを、少女が手を下げることで座らせると、今度は少女から1番遠い席、つまり、少女の座っているとは対角線上に位置する席にすわる、燃えるように紅い髪を持つ女性が、口を開いた。 「なあ姫さん。そろそろ話してくれねーか?何で今日、あたしらをここに集めた?」 紅の髪の女性がそう言うと、今度は少女の隣に座っている男が、円卓を叩きながら立ち上がった。 「ケイト・アレイスター!!いい加減主に対しての口のききかたを直せ!!」 男にケイトと呼ばれた女性は、男を鼻で笑った。 「ハッ!てめぇこそ、いつまでくだらねぇ勘違いしてやがんだ?あたしら[十三刃]は、[自由]の幹部であり、同じ志を持つ同志なんだぜ?同志に上も下もねぇだろうが。」 ケイトの的を射た言葉に、男は反論出来なかった。 「同志ダグラス・ベリアル。ケイトの言う通りだ。私達は同志であって、主従関係にはない。お前が私に対して敬語を使うのは構わんが、同じことを他人に求めるな。」 「はっ……」 少女にダグラスと呼ばれた男は、力無くそう答えた。 「んで?結局何で姫さんは、あたしらを集めたんだ?」 邪魔者が消えたケイトは、改めて少女に質問した。 少女はケイトの質問に答える。 「今回皆を招集したのは、我々[自由]の作戦段階を、第1段階から第2段階に移行することを伝えたかったからだ。」 『!!!!!!!!』 少女のその言葉に、集まった12人の雰囲気が一変した。 「予定よりかなり早い段階移行だな。何があった。」 そう言ったのは、身体を包帯でぐるぐる巻きしている男だった。 「相っ変わらず気配がねぇな、空(むなし)のオッサン。」 「それは儂の体質だ。治そうと思って治せるものではない。」 ケイトに空と呼ばれた男は、淡々とそう答えた。 「でも確かに気にはなるな。姫さん、なんで段階移行を早めることが出来たんだ?」 少女は2人の質問に、少し笑いながら答える。 「なに、我々に協力を申し出る奴が出て来たのだ。そやつの協力で、我々が第1段階に置いていた:例の計画:を完遂する必要が無くなった。ただそれだけだ。」
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