第二章 理想と現実

13/14
前へ
/167ページ
次へ
「協力者ねぇ…まっ、手間が省けるなら何でもいいや。」 少女の答えに、ケイトはそう言って、イスに深く座りなおした。 少女はそれを確認すると、柏手を2回うち、部屋の空気を換えた。 「さて、ではこれより、我々[自由]の計画、その第2段階の内容を説明する。心して聞け。」 柏手と少女の言葉で、部屋の空気は、一気に張りつめたものとなった。 ************************************** 中央魔導師軍・第一部隊隊舎 辺りが暗くなり始めたころ、第一部隊の食堂は、戦いを終えた新人達で溢れ返っていた。 勝者と敗者の間で、若干のテンションの高低はあったが、動いて疲れ切った状態で夕食を食べているからなのか、皆の顔は、ほとんど笑顔だった。 そんな中に、厳正とフェイトもいた。 机を挟んで、この部隊の隊長副隊長と向き合って。 周りが気にしている中、この4人は、明るく喋りながら食事を摂っていた。 「しかしまぁ、君が両試験をトップ通過するとは思うてなかったわ。しかも両方とも200点満点とはな。」 「うんうん。私もびっくりしたわ。遠征任務が終わって、帰る途中、空港テレビを見たら、まだ幼い男の子の顔が、大きく映し出されていたんだから。」 「私も…とってもビックリしたよ…?まさか大神君がトップだなんて。」 「皆さん大袈裟ですよ。ヤマ張ってた場所がちょうど当たっただけです。僕なんかより、2位のマリア―ジュさんの方、よっぽどすごいですよ。」 3人から褒められた厳正だったが、頼んだ白身魚の身をほぐす手を休めることなく、落ち着いた様子でそう切り返した。 「でも、私はやっぱり、満点と高得点は違うと思うよ?」 フェイトは、エレナが厳正に言ったこと、そっくりそのまま口に出した。 「フェイトさんの言う通りね。」 ローズはそう言いながら、サラダの中にあったトマトを口に頬張った。 「まぁ、それはさておき、さっきの戦闘は見事やったのぅ。まぁ、最後らへんはヒヤヒヤさせてくれたがのぅ。」 ベルデは切ったステーキを口に運びながらそう言った。 「確かに……最後突進してくる敵に突進した時は、もう負けるかと思ったわ。」 「そうだよ。どうしてあの時、大神君は前に出たりしたの?そこで待ってれば確実に回避出来たのに……」 フェイトは、デザートであるさくらんぼを口に含みながらそう言った。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加