第一章 少年魔導師

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【えー。受験者の皆様、試験の方お疲れ様でした。それではこれより、魔導師検定試験及び、魔導師軍入隊試験の合格発表を行います。】 合格発表の一言が、会場の空気を一気に張りつめたものに変える。 【えーでは、これより魔導師検定試験の合格発表を行います。まずは実技と筆記の両試験の総合結果の上位成績者4名の名を読み上げさせていただきます。御自分のお名前が読み上げられた方は舞台上までいらしてください。……では、魔導師検定試験上位成績者4名のお名前を下位から読み上げさせていただきます。】 男のその言葉で、ただでさえピリピリしている体育館の空気が余計に張り詰める。 そんな空気をもろともせずに男は続ける。 【第4位。実技試験90点・筆記試験93点・総合得点183点で、アッシュ・グランツです。舞台上へどうぞ。】 「おいっすー。」 男に名前を呼ばれた20歳前後の青年が舞台に向かって歩き始めた。 「やっぱ大貴族が上位成績者かよ。」 「何時の試験でも、大貴族が上位成績者から外れたことなんかねぇだろ。」 「やっぱ大貴族ってすごいのねー。」 「ばっか。裏から手ぇ回してんだよ。」 体育館に集まった者達がそんなことを呟く中、アッシュ・グランツは舞台の上へ向かって歩く。 ちなみに周りの受験者達の想像は事実だ。 四大貴族の当主が裏から手を回し、受験者達が上位成績者として名前を読み上げるように仕向けているのである。 補足すれば、四大貴族というのは名の通り、四つの大貴族のことを指す。 技術開発で有名なクラッチフィールド家。 他を寄せ付けない情報網の広さで有名なクリム家。 優秀な医療魔導師を多く輩出しているマリアージュ家。 魔力保有量の数値が極めて高く、戦闘に特化したグランツ家。 以上の4家が四大貴族と呼ばれている。 そうこうしている内にアッシュ・グランツは舞台に上がり、それを確認した男は進行を続ける。 「続いて第3位、実技試験92点・筆記試験95点・総合得点187点でガリア・クリムです。舞台上へどうぞ。」 男に名前を呼ばれた青年はアッシュ・グランツ同様に舞台の上へあがる。 「続いて第2位、実技試験97点・筆記試験98点・総合得点195点で、エレナ・マリアージュです。舞台上へどうぞ。」 名前を呼ばれた女の子は、前の2人と同様に舞台の上に上がる。
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