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舞台上に四大貴族の内3家の子供達が揃うと、体育館中がざわつき始める。
「またクラッチフィールド家が1位かぁ……」
「お前知らねぇの?今回の試験にクラッチフィールド家からは誰も受験してねぇぞ。」
「マジで?じゃあ1位って一体誰なんだ?」
「さぁなー舞台に上がってる3家の中から、もう1人受験してるところがあるんじゃね?」
「なるほどなーそれはありえるねぇ。」
そんな言葉が飛び交う中、男は総合成績1位の者の名前を読み上げる為に4枚目の紙に目を通した。
「はぁっ!?」
男は4枚目の紙を見るや否や、そんな声を出した。
その声は咄嗟の事で口元から離しそびれたマイクを通して体育館中に響き渡り、受験者達の視線全てが男に集中する。
「……はっ!え、えー……ゴホン!!と、突然叫んでしまい大変失礼しました。それでは第1位を発表いたします。」
男はそう言って、再度4枚目の紙に目をやる。
「だ、第1位。じ、実技試験100点・筆記試験…ひゃっ、100点・総合得点200点で、大神厳正です。」
男は、誰がどう見ても挙動不審な口調になりながらそう言い、会場中のざわめきが二回りほど大きくなった。
「実技も筆記も100点!?」
「嘘だろ?!」
「ってかオオカミゲンセイって誰だよ?!」
「やっぱ隠し子!?」
受験者達がざわめく中、体育館の端っこに移動していた少年は、壁に預けていた体を勢いをつけて直立状態に戻し、舞台の上に向かって歩き出した。
周りを気にすることも無く、堂々とした表情で。
そして3分もしない内に少年は目的地である舞台の上に辿り着く。
「何かなボク?今は大事なところなんだ。いい子だから、早くパパやママのところに戻―――」
男が言いたいことを言い終わるよりも前に、少年は懐から自分の受験票を取り出し、男に提示する。
[受験番号 1211015・氏名 大神厳正]
受験票にはその2つが明記されていた。
それを見た舞台上の4人の人間は絶句する。
何せ自分達よりも高得点を叩き出し、受験者の上位入賞者のトップにランクインしたのが目の前の12歳にも満たない少年なのだ。
驚かない方がどうかしている。
絶句して何も喋らない4人に業を煮やし、少年は改めて自分の名を名乗る。
「僕が大神厳正です。」
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