6人が本棚に入れています
本棚に追加
またな、タマコ
突然だった。
何もかも。
卵焼きがびっしり詰まったタッパーを差し出しながらの告白も、
電車とバスを乗り継いで、三時間半もかかる学校に行くんだっていう話も、
そこに通うために、マキオが親戚の家に下宿をするって話も、
本当に、突然だった。
ワタシは、その度に泣いていたような気がする。
出発の朝、駅のホームにワタシはいつまでも立っていた。
電車がホームに滑り込んできて、
マキオがスポーツバッグを持つ反対の手で、ワタシの髪をぐしゃぐしゃにしながら、
泣くなよ、って言って。
『またな、タマコ』
って。
ワタシは、温もりの余韻を噛み締めながら、また泣いた。
.
最初のコメントを投稿しよう!