当初の目的を忘れたら終わり

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……河原が見付からないんですが…! ちょ、これヤバくね!? この時代の深夜に一人でふらふらって危なくね!? あ、でも、今の私は男装してるから大丈夫か。 よーし、そこら辺は気にしないで河原探そう。 ってかさっきから背後に気配感じるなぁ……。 新撰組の屯所を出てすぐに誰かにつけられてる。 ……あ、もしかして、山崎烝だったりして。 なーんて、そんな訳ないか! あれ、でもだとしたら誰がつけて来てんの!? ……怖ッ!!! ストーカーじゃん!!! ふおぉ、ダッシュ!!! 路地裏に足を踏み入れて形振り構わず爆走。 でも相も変わらず誰かがついて来る気配が。 ヤだもう何これ泣きてェ!!! 「ぬあっ!!?」 「……っと」 後ろをチラチラ見ながら走っていたせいで、誰かに思いっ切り激突。 ぬおぉぉおお……、肩強打した痛ェ…!!! って、誰に激突したんだ!? 取り敢えず謝らなきゃだよ! 「す、すみません!前を向いていなかったもので……」 「いや、俺も前を向いていなかったからな……すまない。大丈夫か?」 「わた……俺は大丈夫です!お兄さんは大丈夫ですか?」 危ない、私って言う所だった。 内心慌てつつ、私を支えてくれている男の人に問う。 「ああ、大丈夫だ。……余計な世話かもしれないが、どうした?誰かに追われているのか?」 「あ、えっと……大丈夫です」 「そうか?……何者かがすぐそこに潜んでいるが」 男の人が私の背後を睨みながら言った。 って、この人凄く背が高いな。……幕末なのに。 「しかもかなりの手練れの様だぞ?」 「手練れ…?それは困りますね。……まぁ頑張れば撒ける気がしますけど」 私は男の人を見上げながら腕を組んで呟く。 「……手伝ってやろうか?」 「……はい?」 「こんな時間にぶつかったのは何かの縁。撒くのを手伝ってやる」 ……はい!? え、ちょ、ぶつかっただけで何かの縁になっちゃうのか!? 有難い申し出だけど、この人が誰なのか分かんないからなぁ……。 ってかこの人からしても私かなり怪しいよな!? この人何か裏でもあんの!? 勇気を出して名前でも訊いてみるか!? ……答えてくれるかは別として、ね。
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