当初の目的を忘れたら終わり

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「手伝って頂けるのは非常に嬉しいんですけど、お兄さんは一体何者なんですか?こんな見ず知らずの俺を手伝うなんて……」 「……あぁ、手伝う事に裏はない。だってお前は女だろう?男が女を助けるのに理由がいるのか?」 あっるぇ…、また見抜かれたよ…? 幕末の人凄ェな。 まぁそれだけ人を良く見てるって事か。危険な時代だし。 「良く私が女だって分かりましたね」 「長年の勘だ。で、どうする?」 「手伝って頂けるのなら是非とも宜しくお願いします」 ペコリと軽く頭を下げる。 すると男の人は口角を少しだけ上げて口を開いた。 「任せておけ。……背中に乗れ」 「背中!!?」 男の人が私に背を向けてしがゃみこんだ。 ……おんぶですか!? 「屋根から行く。乗れ」 「屋根!!?」 え、この人忍か何か!? ってか乗って大丈夫かこれ!? 何処かに連れてかれたりしたら私どうすれば!? 「どうした?」 「……いや、あの…、名前訊いても……?」 「……ふっ、いいぞ」 いいんですか!!? 自分から訊いといてアレだけどいいの!? あぁでも、偽名かもしんないし。 「まぁ訊いた所で俺は有名じゃないからな、知らないと思うが」 「大丈夫です。名前呼びたいだけなので」 「そうか、分かった。……俺の名は入江九一だ」 ……は!?入江九一!!? 幕末にはそんなに詳しくないけど、その名前は知ってるよ!? 確か松門四天王の一人……だったよな!? 「お前の名を訊いても?」 「あ、伊達政奈です」 「伊達?……何処かの戦国武将と同じだな」 うわっふ、勘良過ぎだよ入江さん。 「では行くぞ。乗れ」 「宜しくお願いします!」 入江さんに元気良く一礼して、その背中に乗る。 因みに入江さんの容姿は、髪の色が茶色で、左前髪が後ろに流してある。 で、髪の長さは肩ぐらいで無造作に切り揃えてあって、目の色が綺麗な水色。 うん、イケメン過ぎるだろ。 「……軽い」 「え、そうですか?」 「ああ」 ひょいっと私を背負った入江さんがポツリと呟いた言葉がちょっと嬉しかった。 だって軽いって言われたいじゃん! 「手を離すなよ?」 「はい!」 入江さんが足に力を入れたのと同時に、ぎゅっと入江さんの首にしがみつく。 ……屋根の上走るとか夢の様だね!
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