当初の目的を忘れたら終わり

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高杉ぶん殴り計画を練っていると、吉田さんが本日何度目になるか分からないため息をついた。 「あぁくそ、このままじゃ埒が明かねェよ。……玄瑞呼んでくるか」 「あ、呼んだ?」 「……何で木の上に居んだよお前」 木の上から飛び降りて来たのは玄瑞と呼ばれた人物。まぁ十中八九久坂玄瑞だろう。 つかもう嫌だ。松門四天王全員と会っちゃったよ私。どんだけ運ないんだ。 「木の上に居たのは……新撰組の監察方を見張っていたからだよ」 「あー…、そうか」 ……あれ、吉田さんって松門四天王の中だと苦労人? なーんか意外だわ。 「因みに今までの会話は聞いてたよ。伊達ちゃんの事で俺の意見を聞きたいんだろ?」 「伊達ちゃん…!?」 「あれ、駄目だった?」 「あ、いや、伊達ちゃんなんて呼ばれたの初めてだったので……」 だからびっくりしたマジで。 名字にちゃん付けって……何かいいな……。 「あ、知らない奴に名を呼ばれたくないか。俺は久坂玄瑞。宜しく」 「久坂さん……ですね。こちらこそ宜しくお願いします」 物凄く礼儀正しい久坂さんが手を差し出して来たので、私もつられて手を出して握手。 あれ、何でこんな微笑ましい事になってんだ? あ、久坂さんの雰囲気がほわほわしてるからかもしんないなぁ……。 髪が肩下ぐらいまで長くて、綺麗な明るい茶色。 目の色は灰色で、やっぱり綺麗。 そして幕末なのに謎の高身長。 うわっふ、美人な感じのイケメンさんだわ!何か和むね! 「さて、伊達ちゃんについてだけど」 「…………ッ」 改めてそう切り出されると緊張する。 思わずごくりと息を飲んだ。 「まぁ、どちらかと言えば安全だと思うよ。完全に俺の勘だけど」 「玄瑞も勘かよ……」 久坂さァァァん!!!何かありがとぉぉお!!! 吉田さんが深々とため息をついて眉間に皺寄せてるけど気にしたら負けだな! つかため息ばっかついてると幸せ逃げるよ! 「だって稔麿。伊達ちゃんを良く見てよ。敵に見える?」 「あ?敵に見える敵が居るかよ」 ごもっともです。 と、久坂さんも私と同じ事を思ったのか、くすりと微笑んだ。 「外見じゃなくてさ、雰囲気とか目とかを見てよって事」 「……ちっ」 Σ舌打ち!!! あぁでも何か吉田さんが可哀想になってきた💧
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