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「…寒いのは、骨が折れてるせいだよね。」
「純夏?どうしたの。大丈夫?」
これが唯一体(のう)の異常をママに訴えた最後の言葉だった。
私は体に穴が空いた。
私は毎晩、病院のベッドでなれない体の変化に戸惑いうなされていたが、その後普通に家に帰って、普通の生活を送った。
ただ、世の中の悲劇を全て自分の中に、そっとしまい、全てを穏やかなもの、可愛いらしいものに変えてしまう「純夏」
学校の友達や、ドッジボール、心からなんでも楽しみ、笑顔を絶やさなかった「純夏」
そういえば、「純夏」は、もういつのまにか何処に居なくなっていた。
家族や親戚、周りの友達には前のままの、壊れる前の「純夏」を演じた。
隠さずに症状を訴えればよかったものの…
私は何かを事故によって失った。
もうずいぶん前から悟っていたかもしれない。
ただ、ちょっとショックな事が小学校五年生。という多感な時期に重なったせい。
普通、そう考えるかもしれない。
ならば私は、中学生になっても、高校生になっても、今もずいぶん長い間十歳だった。
そう。私は、沢山の線に繋がれ、一定の音と一緒に目を覚ましたあの日のまま時が止まったままでもある。
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