槻谷純夏

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純夏はとても良い子だ。 とても子供らしくて可愛い子。 大人になった人ならわかるだろう。子供は一見何も考えずにただ無邪気に足りない脳で一生懸命生きている様に見える。 実際の所子供の世界の人間関係も大変だ。大人の世界の苦労とはまた違う生きにくさを誰もは一度は体験する。 覚えている人はきっと覚えているはずだが、大人になって多少考え方は変わっても人に対する見方、ものに対する感受性はそう変わりない。 …純粋ではないのだ。 例えば、子供だとなめて話す大人を、子供は有無を言わず察する才能が幼いながらに身に付いている。 怒られれば 「むかつく」 変な人がいれば 「あの人おかしい」 悪口も言う。物欲もある。 そう。これは十歳からもう成長する事はなかった一人の大人が一番記憶している事だった。
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