槻谷純夏

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祖母が他人と親族に与えてきた心地よさ、いわば人に喜ばれる事、愛情というのは、この様な形で人々を悲しませた。 ただ、私は運良くこの邪悪なエネルギーをこの人だかりの連中よりも何倍も多く貰っていたにも関わらず私は悲しまなくてもよかったのだ。 なにか喜びの様なものがポツンと沸き上がった。 通夜もおわった明くる日、父親と母親が珍しく激しく罵り合っていた。夫婦喧嘩というやつだったのだろう。 良い子の純夏ちゃんだったら涙を流しながら母親の腰に手を添え、必死に父親に今晩の夕食の食材で父親を殴ろうとするのはヤメロと忠告をしていたかも知れない。 しかし「もう」純夏は良い子でも普通の女の子でもなんでもなかったから… 母親が泣き出した。 父親が暴れ出した。 ああ…なんだかもう。 こいつらはこの世の人類代表だ。
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