槻谷純夏

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こんな事が、その後も何度か続いた。 いいえ。奴等の喧嘩ではなく、私の心情の変化が。 ある日、私はこの地球で生きている人間の中で、大きな徳をしている事に気がついたのだ。 事故に逢い、感情みたいななにかを失い、私はなにかを失ったと考えていたが、日に日に私は神様からお値打ちが高いプレゼントを貰ったと考えるようになった。 感情を完全に失った訳ではない。多分「うすまった」のだ。 何故こんなにプラス思考になったのかは話せば長くなる。というよりか、人生に嫌気がさした事がある人間ならわかるはずだ。いや、分からないかも知れないが。 ただ、私は、感情で生きている、感情で感情を振り回しまくるこの世界が潜在的に嫌気がさしていたのだ… それだ。いいフレーズだ。 私は人類がいくら嘆こうと悲しもうと怒ろうが笑おうが、「冷静」とはまた違うなにかでそいつらの傍観者となる事ができるのだ。 笑いが止まらない。 この「穴」は 私の身体の「穴」は 私の心の「穴」は 才能。 私は体が女性に変わるにつれ、この資質を愛でた。それに対する愛情が、深くなっていった。
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