槻谷純夏

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東京のビジネスホテルってなんかアレだ。 私の肌には合わない。 結局は地球にいても他の惑星へ行ってもその土地に馴染めないのだろう。 私はベッドに寝そべり携帯電話を取り出す。 22時13分。 玲二の着信と、メール。携帯の真ん中のボタンを押してみる。 そこには宇宙というか、甲骨文字というかとりあえず今の私には読解不可能だった。 22時52分。 私はペンケースと、封筒と原稿用紙と、スプーンの形に加工されたピンクのストローを鞄から取り出す。 22時58分。 目をつぶってちょっとした一人旅に出る。どっかに一人で浮遊する。そこはきっとジャングリラかマイアミビーチなはずだ。 23時59分。 一人旅を終える。たぶん数分前に目を覚ました。 九月十二日 私は従弟の母親宛てに、静かにペンを原稿用紙に滑らせる。 何を書こう。 書く事はきっと、純夏が教えてくれるだろう。 そういえば純夏は、確か初めにこう文を綴っていた。 「拝啓、藍沢千嘉子様。そういえば貴方が産んだ春琉君は、世紀末のエンジェルでした。」 さよなら。おばさん。 二通目の手紙、読んでね。
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