槻谷純夏

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大きな濁音の後、私はいつの間にか家の玄関に倒れ込むような体勢をとっていた。 「…純夏?」 ゼーゼーと息を切らし私は顔を上げた。 「…また、走って来たのか…」 爛れた私の体が、またゼーゼーゼーゼー喚き出した。 「酔っ払い」と指で私の頭を弾き、そのまま流れで台所へむかう玲二。 「いいよー…あたしやっとくよー…」 何かにぶつかり、またた折れ込む自分。 「なんかさ、おまえはえらいよなー家事と、仕事と。最近またいそが…」 「やめたよー」 「え…」 「あたし仕事辞めたよ?」 カツカツ、と「異物」の前に向かう。 「だって玲二の為に家事に専念するって決めたんだ。」 ジュンだかジュンナだか呟いた後、異物は私の体を包みこんだ。私もそっと異物の腰に手を回す。 「これからいい家庭、築こうな。」 私は徹夜で低用量ピルの安い病院を検索する事を考えていた。
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