12人が本棚に入れています
本棚に追加
いつになっても雨が止まない。昨日なんか悪いことでもしたかな。ある建物、エレベーター内。入ってきたときに一応タオルでスーツを拭いたのだが、まだぬれているようだ。一緒に乗っているのがお偉いさんではなかったら、もっと派手なため息をついていただろう。
エレベーターが3回で停まる。軽くそのお偉いさんに頭を下げながら、エレベーターを下りる。この三年間歩き慣れた廊下を通るが、ここ2週間は途中で曲がり、奥の孤立した1つの部屋に入る。
「おはようございます!」
元気な挨拶は現代社会の基本だ。まぁ、ここではあまり意味がないのだが、、、
「おはよっ」
「おう」
「どうもです」
先輩たちは適当にしか挨拶を返さない。実際こんなもんなんだろう。
自分の席につき、人数が揃うのを待つ。だいたいオレが来るのが最後から2番目。最後に来るのは決まっている。
エレベーターのわずかな音と、直後に聞こえる小走りの音。これで揃ったな。
「じゃあみんな揃ったな」
上司も大分慣れたようだ。
「すいません!また私が最後ですか?」
最初のコメントを投稿しよう!