EP1 俺はマルス

1/9
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ

EP1 俺はマルス

 (死ぬ~はぁはぁ……)  天つ河学園高等部一年生の学生、阿津真流主は、暑い六月中旬になっても学ランを着用してふらついていた。 「学ラン脱いで良い?」 「ダメっ。あたしの着替え覗いた張本人が言う?そんな戯言」  クラスメイトの白神苓子がつんけんになって膨れ面しながら答えた。入学式の後にミスをして制服のスカートを引きずり落ろした件で因縁付けられて、今では友達同士。  危険度の高い下(シモ)の世界でのトラブルが相次ぎ、今日もまた、苓子の身体関連でミスって罰ゲームを受けていた。  日中が三十度以上の高温で、梅雨時じゃあ、さすがの真流主も参ってしまう。 「いくら身体密着を毎度のようにしてるからって、アナタとの婚約は解消しないからね~」 「いつ婚約したんだよ」 「しらばっくれちゃってさ。入学式早々スカート引きずり落ろした張本人との条件を今更忘れたのかなあ?」 「身に覚えはない」 「じゃ、熱中症になって倒れなさいね」 「悪魔め~」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!