EP1 俺はマルス

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 帰宅後。  白神宅。白神の邸宅のほうがいいかもしれない。中世系の洋館を思わす造りの建家では、邸宅だと言っても過言ではない。 「お帰りなさいませ、お嬢様」 「只今帰りました。佐川さん、いつも見送りありがとう」 「私くしをお雇いくださり勿体無いお言葉で」 「友達連れてきたの。上がらせて構わないかしら?」  中世系の洋館というお邸では、必ずしもお見送り用のハイヤーによる送迎が当たり前。しかし苓子は、それが嫌でわがままを通そうと、二の足で登下校したかったのだった。 「俺みたいのが入って良いのか?場違いじゃね?」 「遠慮しないで。あたしたち友達じゃないの」 「もう汗だくなんだが」 「白神(うち)の浴場広いのよ。使っても宜しいのですわよ」 「なんでお嬢様言葉混じりなんだ?」 「邸内は発言の制限がありますから」 「あ、そうなんだ」  白けた表情を作ると、辺り一面を見渡す少年だった。 「上がったら部屋においでくださいまし」 「キモ……いつも通りの口調がいいかもな~」 「邸内は我慢してくださる?」 「……」  早速、汗だくの身体をサッパリしようと、入浴する真流主だった。  入浴後。白神ゼネラルコーポレーションの文字がプリントされた汗拭きタオルを首に巻き付けて、苓子の部屋へと向かった。
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