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帰宅後。
白神宅。白神の邸宅のほうがいいかもしれない。中世系の洋館を思わす造りの建家では、邸宅だと言っても過言ではない。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「只今帰りました。佐川さん、いつも見送りありがとう」
「私くしをお雇いくださり勿体無いお言葉で」
「友達連れてきたの。上がらせて構わないかしら?」
中世系の洋館というお邸では、必ずしもお見送り用のハイヤーによる送迎が当たり前。しかし苓子は、それが嫌でわがままを通そうと、二の足で登下校したかったのだった。
「俺みたいのが入って良いのか?場違いじゃね?」
「遠慮しないで。あたしたち友達じゃないの」
「もう汗だくなんだが」
「白神(うち)の浴場広いのよ。使っても宜しいのですわよ」
「なんでお嬢様言葉混じりなんだ?」
「邸内は発言の制限がありますから」
「あ、そうなんだ」
白けた表情を作ると、辺り一面を見渡す少年だった。
「上がったら部屋においでくださいまし」
「キモ……いつも通りの口調がいいかもな~」
「邸内は我慢してくださる?」
「……」
早速、汗だくの身体をサッパリしようと、入浴する真流主だった。
入浴後。白神ゼネラルコーポレーションの文字がプリントされた汗拭きタオルを首に巻き付けて、苓子の部屋へと向かった。
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