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すぐに気付いた。
「え、ええ、まあ」
「無理もない。まだ夜中だ、少し眠るといい。着いたら起こすから」
「…………」
キャンベルの言葉に返事をすることも適わず、夜空は眠りについた。
当然のように眠りについた夜空に対し、きゃんベルは疑問を抱くばかりだった。
が、そんな疑問もすぐになくなる。キャンベルは急ブレーキを踏んだのだ。
「……現れたな」
フロントガラス越しに見える一人の人影。だが、外に居るのは人ではない。その人影はこちらの様子を伺うように立ち尽くしている。
「……吸血鬼、ですか?」
急ブレーキを踏んだ衝撃で目を覚ました夜空がキャンベルに問う。
「ああ、だが、今は戦っている暇はない」
「どうしてです?」
「君がいるからだ。今、私が車を降りたら君は無防備になる。ご両親の形見である君を失うわけにはいかない」
そう言いつつ、アクセルを踏み込んで、キャンベルは車を発進させる。
「僕が足手まといだと、言いたいんですか?」
「違う。そういう意味で言ったんじゃない。私の仕事は戦うことが前提じゃない。私たちハンターは人間を守ることが優先なんだ。今、この対象は君だ、夜空君。だから、君を守るためにもいち早く教会に向かわなくてはならないんだ。教会まで行けたら、仲間がいる」
よほど、頼りになる仲間なのだろうと、夜空は思った。だが、それと同時にキャンベルに対して呆れていた。
「そうですか。では教会に向かってください。でも、あの吸血鬼、一体ではないと思います」
そう言って、バックミラーを指差す。
「さっき、急ブレーキを踏むまで、後ろに車は走っていませんでした。たぶん、あの車は吸血鬼が
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