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乗っています。あれを振り切らなければ、僕たちは生き残れないでしょう」 「…………」  キャンベルは唖然とした。キャンベル自身、自分たちの後ろに車がいなかったこと自体意識していなかった。ただ、「教会までたどりつく」ということだけを考えて、車を走らせていたのだ。そんな自分の警戒力の低さを、自分より年下の子供に指摘されたのだ。 「そ、そうね。まずは奴らを振り切らないとね」  キャンベルはそう言いながら、ちらりとバックミラーで後ろを確認した。自分たちを追いかけるように走る黒の車が一台。この辺りでは見慣れた車種だけれど、車に詳しくないキャンベルには気にしている余裕はない。 「ナンバーは見えますか?」 「は? どうしてナンバーなんて気にするんだ?」 「いえ、こういう場合、ナンバーが分かれば、逃げ切ったときに役に立つかもと思っただけです。ほら、事故を起こした車を割り出したりするのにナンバーを使うでしょ?」 「そう言う事か。だが、たぶん、意味はないと思う。盗難車かも知れないし、私たちにはそんな情報はないんだ。警察も動かない――いや動けない」 「そうですか」  どうにも腑に落ちない夜空だったが、キャンベルができないという以上、できないのだと納得して、それ以上は何も言わなかった。  後続車は猛スピードで道路を走行している。いつ追いつかれても不思議ではない。 「夜空君、アンダーボックスに銃が入っている。それをとってくれ」 「分かりました」  返事をして、助手席のアンダーボックスを開く。中には、銃が二丁とマガジンが五つ入っていた。夜空はそのうち一つをキャンベルに渡した。 「少し、危ないから頭を伏せていてくれ」  そう夜空に忠告すると、キャンベルは窓を下ろして、後続車に向けて二発発砲した。
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