002

9/10
前へ
/25ページ
次へ
 キャンベルを責めているわけではない。ただ、夜空は嘘を吐くのが下手で、思ったことをよく口にだしてしまう性格なだけだ。悪気はない。けれど、それが逆にキャンベルを苦しめた。 「……後悔しないか? その引き金を引けば、君はもう後戻りはできなくなるぞ」 「もとより、そのつもりですよ。でなければ、あなたと一緒に来たりはしません」 「はっ、驚いた。君は子供の癖に、大人のような思考を持っているな。それはいいことだけれど、私としては、君にはまだ子供でいてほしい。大人としては、まだその年齢に見合った子でいてほしいと思うよ。そうでなければ、大人の面目なないじゃないか」 「それはすみませんでした。何かと一人でやってきたので、自分で何とかしないといけなかったので」  冗談のようにも聞こえることを言いながら、夜空は窓を下ろして身を乗り出す。 「キャンベルさん、あなたは僕に戦うなと言いました。けれど、僕は戦いますよ。そうしないと生き残れないのなら」  両親の死の真偽はまだ、分からない。だから、それを確かめるまで夜空は死ぬわけにはいかない。そう心に決めて、夜空は引き金を引く。もちろん、タイヤなど狙わない。逃げるために戦うのではなく、殺すために戦うのだ。狙うのは敵の命だ。タイヤではない。奴らが命を狙ってくるなら、こっちもそれを狙わなければ割に合わない。 「夜空君、無理して狙わなくていい。まだ、身体ができていない君にはその銃の反動は大きすぎる。何より、君の身体が大事なんだ」  夜空が手に持っているのは、デザートイーグル。ハンドガンでありながら、マグナム弾を使用している。その分、威力はあるが反動が大きい。身体が発展途中の夜空には反動が大きすぎる。  それでも、発砲を続ける夜空に、キャンベルは時計を確認しながら再度忠告する。 「夜空君、もうすぐ日が昇る。太陽が出たら、吸血鬼は外にはいられない。それまで、無理をしな
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加