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「…………」
半信半疑であった夜空は、両親の死を信じざるを得なくなった。
もう両親はこの世にはいない。思わず、夜空の頬を涙が伝う。
悲しみと憎悪が彼を襲った。そんな様子をキャンベルは建物の中から見ていた。
「あの子も、ちゃんと泣けるんだな」
今までの夜空の態度から、キャンベルは夜空を人間として欠陥していると思っていた。けれど、その疑いは覆された。両親の遺体を前に涙を流す夜空は間違いなく、人間だった。
「……随分、泣きまねがうまいじゃないか」
ただ、そんな夜空の態度に、鑚崎は怪訝そうに花を鳴らした。
「……ばれてました?」
「ばればれだっての。他の奴はどうだか知らないけれど、そんなんでこのあたしを騙せると思うなよ」
両親の死に対して、何も感じていないわけではない。ただ、その何かは常人と比べても極端に少なかった。
「両親との生活サイクルが間逆だから、家の中にいてもいないのと同然だってか? 笑わせるなよ。言っただろうが。お前の考えていることは全部分かるってよ。お前は、両親を尊敬していたんだろうが、今は何も思っちゃいない。お前は、それを演じているだけだろうが」
「……僕には、そんなつもりはないんですけどね」
「ああ、そうだろうよ。全部無意識のうちにやっているんだろうが、お前の態度には所々違和感を覚えるんだよ」
無理に作っているような気がする、と鑚崎言った。
「……まあ、お前のことはよく知っているから、あたしはなんとも思わないけれど、イリアや他の連中からはかなり変に思われるだろうよ。年齢に似つかわしくない態度をとってんだから。気にすることじゃないけれど、一応気をつけておくんだな」
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