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忠告するように、鑚崎は言う。けれど、夜空が気になったのはそこではなかった。
「僕のことをよく知っているって……それってどう言う意味ですか?」
「ん? ふふん、お前をずっと見ていたからだよ。不思議だと思わないか? 吸血鬼ハンターの両親を持っていて、どうして今までお前が無事でいられたのか」
「……考えたこともなかったです」
考えたことはなかった。何せ、自分の両親が吸血鬼ハンターであったことをつい数時間前に知ったばかりなのだ。自分はおろか、両親が危険と隣り合わせになっていたなどと考えるほうがおかしい。
「でも、うすうす疑問を抱いていたんだろ? イリアがお前のところに来た時点で、感づいてはいたんだろ」
どうして、キャンベルは夜空のところに来たのか。それは、夜空の存在が味方だけでなく、敵――である吸血鬼にも認知されていた可能性があったから。すべて――ではないけれど、ある程度状況を理解し始めた今、すぐに答えを出すことができる。自分が誰かに守られていたという考えにいたることができる。
「貴女が、僕を守っていたんですか?」
「いんや、見守っていただけだ。結局、奴らはお前を襲わなかったからな。心配しすぎたのか。それとも、あたしがいたからなのかは分からない」
「でも、これからはそうじゃなくなるんですね。僕は自分で自分を守らなくちゃならなくなった……。僕はもう、こちら側に足を踏み入れてしまったんですね」
「そういうことになるな。元々、不安定なところに立っていたもんだから、あっという間だったけれどな。まあ、あたしとしてはこそこそお前を見張る必要もなくなったわけだから、光栄なことだ」
日常から切り離されたといえば、そうではあるのだけれど。両親が非日常を生きていたのだから、そこまでのことではない。今までは自覚がなかっただけで、危険と隣り合わせではあったのだ。そ
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