002

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 その後、夜空が部屋を除いたとき、両親の姿はそこにはなかった。 「ご両親は……もう、この世にいない」  ソファに向かい会う形で、座っている。目の前のイギリス人の女性は金髪を肩口で切りそろえた、スラリとした体系をしている。美人ではあるが、今のこの人は酷くやつれた顔をしている。そんなことを思いながら、女性を観察していると、女性は重く、その口を開いた。 「私はイリア・キャンベル。ご両親とは知り合いだったんだ」 「キャンベル、さん? 両親が死んだって、どういうことですか?」 「…………」  キャンベルは夜空の質問には答えず、ただ俯いたまま「すまない」と言うだけだった。 「あなたは一体何を知っているんですか? どうして両親が死んだなんて」 「……すまないが、それは事実だ。私はこの目で見ている。どうあがいても覆らない事実なんだ」 「だから、それを知りたいんです!」  十三歳の夜空には彼女が冗談を言っていないことは理解できていた。けれど、信じたくなかった。だって、両親は、ついさっきまで、隣の部屋で寝ていたはずなのだ。 「……信じて、くれるか分からないけれど。聞いてくれ」 「……はい」  若干の疑念を抱きつつ、夜空は頷いた。 「吸血鬼……という生き物を知っているか?」 「吸血鬼ですか?」 「知らないはずはないだろう。君のご両親と私はその吸血鬼を退治している仕事をしていたんだ。その最中に、君のご両親は奴らに殺されてしまった」  到底、信じられるはずもない話だと、夜空は考えた。けれど、信じざるを得ないだろう。今しがた確認したけれど、その両親が寝室にいなかったのだから。
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