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「……ありませんよ。どうしたんですか?」  唐突な質問に空は表情を変えずに口を開いた。 「いや、もし喧嘩なれしているなら、吸血鬼と出会っても、攻撃しないようにと思ったんだが……喧嘩をしたことがないなら、大丈夫か?」 「はい。そんな化け物と戦うのは嫌ですから」  と、表面上はそう言う夜空。 「攻撃するな」というキャンベルの言葉は聞き入れることができない。もし本当に吸血鬼に両親が殺されたのならば、吸血鬼は両親の仇だ。そんな奴らを前にして、自分がまともでいられる保障はないからだ。 「その言葉を聞いて安心した。大丈夫、君は私が守る」  そんなことをいうキャンベルも、夜空の言葉を信用しているわけではない。ただ、自分が見ている目の前で、敵に飛び込むことはないだろうと思っていた。 「それで、今はどこに向かっているんですか?」 「ああ、とりあえず、町外れの教会だ。そこに仲間がいる。運がよければ、ご両親の遺体も一緒かもしれない」  仲間が回収してくれていたなら、だけれど。 「その……両親が死んだとき、そこにいたのは三人だけだったんですよね?」 「いや、吸血鬼がいた」 「あ、そうではなくて、一緒に戦っていたの人です」 「そうか……うん、私と星空さんと夜美さんだけだ。仲間には、君のところに向かう途中で報告したんだ」 「そうですか。会えると、いいですね」 「…………」  本当に、十三歳の子供なのか? キャンベルは、その疑念をあの二人の息子だからということで無理やり納得させた。  目的地を訊いたあと、夜空は口を閉ざし、睡魔と闘っていた。 「眠いか?」  夜空が眠たそうにしていることにキャンベルは
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