一、ロビン・ウォルタナの後悔

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   ◇・◇・◇  ロビンの日記より 一部抜粋  僕は死んだ。  比喩でも何でもなく、言葉そのまま意味そのまま。 心臓が活動を停止し、脳が思考を止め、血潮が錆びついた。  僕の場合、殺されたと言った方が正しいのだろうけど、どこをどう歪曲させても死したという事実は変わらない。絶命したという結果を変える事はできない。  できないはずなのに。  およそ不可能だと思っていたのに。  僕の心臓は鼓動を再開し、脳髄は思考を継続し、血は脈々と身体を巡っている。  …………。  意味が分からない。僕の命は、あの雪山で確かに終わりを迎えたはずなのに。  目が覚めたら温かみのある木組みの天井が見え、身体を起すと周囲には大勢の人々の姿があって、立ち上がるとそこが酒場であるという事が分かった。
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