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最初は重く閉ざされた扉を叩いて抗議を図っていたのだが、馬鹿らしくなって途中でやめた。
床に寝転んで何の気なしに天井を見ていると小さな穴を発見。その先には藍色の空とちかちか瞬く極小の光が見える。今が夜にあたる時間帯なのだと気付いたのはその時だった。
しかし先の騒動、
…………人が、死んでいた。
ここが死後の世界であるならば、そこにいる人々はみな死んでいるわけで。
死んだ人間が更に死ぬというのは、何というか……。死の重複。そう、死の重複なんて有り得るのだろうか?
もしかするとここは死後の世界などではなく、現世のどこか知らない場所なのでは──
『────ここはあの世さ』
と、誰かの声に虚を突かれ、僕は思考を止めた。
『何をきょろきょろしている? 隣だ隣』
続けて聞こえてくる声に誘導されるように壁に耳を押し当てる。
しかし、分厚い壁からはひんやりとした感触しか伝わってこず、肉声なんて通りそうにもない。
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