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そんな存在に対し、たかが人間ごときが、人間だった者ごときが立ち向かうなど〈この地〉に存在するどんな歴史書にも預言書にも書かれていない事だろう。
戦乙女は鍛え上げられた屈強な戦士だ。
だが、
それが男にとって尻込みをする理由にはならない。
もはや人間という括りから大きく外れた者となった男は、男たちは、〈この地〉において誰よりも自由で何ものにも縛られず、そして比類なき存在だ。
割れる地を踏みしめ、上から覆い被さってくる圧力を押し返しながら、男は共に幽閉されていた仲間の名を叫んだ。
「行け! ロビン!!」
直後、男の横を銀髪の少年が駆け抜けた。
それを見た戦乙女が叩き付けた剣を浮かせ、少年を追いかけようと地面を強く蹴り出した────のだが、大剣の男が瞬時に回り込み、道を阻む。
凛とした彼女の表情が僅かに歪む。歪むといっても片眉が動く程度ではあるが。
しかしそれでも何か言いた気である事はおよそ読み取れる。
「不満でも?」
促すが彼女は何も答えなかった。
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