四、火焔

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 火焔を伴った衝撃の波紋は数メートル圏内にいた者たちをまとめて吹き飛ばし、大地もろとも焼き尽くさんと猛る。    ロビンは口角を上げ、邪悪に笑った。  眼窩におさまった碧眼はやはり前方を見据えている。  そこいら中に転がった女たちなど初めから眼中にない。  ロビンが見据えていたのは、戦場の中心からこちらを見返している人物。自分と同じ銀色の髪を持つ女ただ一人だけだった。  女の視線から殺意が伝わってくる。静かな闘志が大気を震わせているのが分かる。  彼女が放つそれらは、焼野原と化した大地に横たわる者たちの比ではない。  遠方、彼女がもらす言葉が耳に届く。 「──退くと言うのなら赦す事もやぶさかではないぞ、従僕」  それに対するロビンの返答は、無言だった。  彼女が動かずにいたのはかつての僕(しもべ)に対するせめてもの情けだったのか。 まるで悪戯をしてしまった子を叱る親のように腕を組んで立ち尽くしていたのだが、再び駆け出すロビンを見て、ため息交じりに小さく呟いた。 「宜しい。ならば戦争だ」  
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