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一、ロビン・ウォルタナの後悔
重く閉ざされた黒の部屋の外では、火薬が爆発する音と乾いた雷鳴が轟いていた。
主を失った部屋の中は石造りで狭く、天井の小さな穴から差し込む僅かな光が室内を辛うじて照らしていた。
壁が、床が、天井が、静かな黒光りを放つ。
そんな独房とでも言うべき空間の中心、石畳の上、天井の穴から差し込んだ光の下に、紐でつづられた紙の塊があった。
一枚一枚の紙を幾重にもしてまとめた物らしい。
紙の大きさはまばらで材質も異なり、書物の様に項を送ることが出来るのだが、開いたそばから崩れてしまいそうなほど造りは粗雑で、端々には血の様な赤黒い何かが付着していた。
不意に、その『不完全な本』の項がはらりとめくれた。天井の穴から爆風の余波が流れ込んできたようだ。
材質から見るに羊皮紙と思しきそれで作られたページには、こんな文字が刻まれていた。
──僕の一度目の最期と、二度目の記憶をここに記す──
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