DAYBREAK

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 「しかし、派手なもんだな」  「ですが、ドラマの撮影許可については所轄には届いてませんからね」  「じゃあ、やっぱり事実なのか?」  突然の怪人騒ぎの翌日、望達の学校は警察の現場検証で臨時休校になった。  二人は昨日の事件現場の様子を見に行こうと学校に向かっていた。  あのあと、昇降口からつばめが屋上を覗き込むと元の姿に戻った望がそこに立っていた。  すぐに駆け寄ると、望は茫然と怪人を見下ろしていた。  つばめに揺すられて気がつくと同時に何事かと足音が聞こえてきた。  「望、逃げるよ」  「で、でも……」  「色々聞かれるほうが大変なんだから」  「う、うん」  その後二人は昇降口近くのブルーシートの中で息を潜め、足音が消えるまで隠れていた。  誰もいなくなったのを確認してから外に出るとつばめは望が腕に巻いているTUIに気づいた。  「TUIが……」  「光ってる……?」  「どういうことなんだろう?」  そうは言いつつも、二人が考えていたことは同じだった。  それは、望に与えられた力が本物であること、何かの運命に巻き込まれたことの2つ。  そのことを思い出している間に、二人は校門のまえに着いていた。  野次馬をかき分け進むと、数人の警官が昨日倒された戦闘員や怪人を護送車に運び込んでいる様子が見えた。  その横で、これまた数人の刑事が会話をしていた。  「しかしこのヤマはどうなるんですかね」  「やっぱり特捜じゃないのか?」  「特捜とは言いましても、国内の法律が適用できるんですか?」  「そこなんだよなぁ……」  その時、先輩らしき刑事の携帯が鳴り、刑事がすぐに受けた。  「なんだろう?」  「もしもし、何ですって!?撤収?」  その電話に刑事は慌てているようだ。  「このヤマが特公持ちになった!?」  その後、二三話して刑事は電話を切った。  「あの先輩、特公って?」  「特務公安庁、こういう事件専門らしいが詳しいことは俺にもわからん」  「特務公安庁ですか……、初めて聞きました」  望も含めて誰もが全く状況を掴めないまま、事態だけが過ぎていった。
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