Running Shot

2/14

54人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
 「どうもおかしいのよ」  「どうかしたの?」  突然起きた怪人の襲撃から数日後の昼休みだった。  つばめは持ってきていた新聞を斜め読みしながら静かに怒りを露にしていた。  「こないだのアレよ。あんなに騒ぎになって、野次馬もたくさんきたのにぜんぜん新聞にもTVにもニュースになってないのよ」  「そうみたいだね」  「望は気にならないの?日曜の朝にやってるアニメのような事態になったのに」  「でも、あれも新聞沙汰になってない気がするけど」  意外と適切なツッコミを望は入れる。  ところが、あれだけの騒ぎにも関わらずニュースにならないのは望も疑問視していた。  とは言うものの、目立つのが嫌いな望は新聞に記事が載らないことをむしろ歓迎していた。  正義の味方のような活躍はしてもいいかもしれないけど、目立つようなことにはなりたくない。  それが一応つばめに相づちを打ちつつ望が思っている本音である。  「あーぁ、あたしだったらじゃんじゃん取材受けて目立ちまくるんだけどなぁ」  「そのニュースが表に出てればね」  「恐らく、ずっと表に出ないわよ」  「「わわっ!?」」  二人は突然間に入って覗き込んでくる女性の出現に驚いた。  「なんだ、梶間先生かぁ」  「びっくりしたぁ」  割り込んできた黒髪セミロングの女性教師――梶間麗奈(かじまれな)は望達のクラスの担任である。  ちなみに、彼女の夫である梶間勝己(かじまかつみ)はこの近くの警察署で刑事をやっていたりする。  「なんでも、報道管制が敷かれてるとか言ってたわね」  「報道管制!?それって、どうしてなんですか」  「私も勝己さんからこれ以上のことは聞けてないからわからないわ。それよりも、午後の授業始まるわよ」  二人が時計を見上げると、既に昼休みが終わっていることを知らせていた。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加