Running Shot

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   「つっ、どこに……」  敵の怪人を追いかけて砂浜にたどり着いた望は敵の姿を捜していた。  見回しながら砂浜に入った瞬間、波打ち際の寄りの辺りから砂煙が上がった。  「そこだ、ファイヤー・ボール!!」  剣から持ち変えた杖よりいくつかの火球が砂煙に向けて放たれる。  だが、反応はなにもない。  「そんな……」  「残念、そこじゃないのよ」  その声がした瞬間、望の横から蛇の尾のような攻撃が襲ってきた。  その攻撃に望はとっさの行動がとれずに砂浜に倒れこんだ。  その後も間をおかずに四方八方から敵の攻撃が望に向かって襲いかかる。  攻撃が来た方向に望が反撃をしようとすると、別な方向からの攻撃が飛んでくる、その繰り返しがしばらく続いた。  あちこちからの攻撃に望の顔に疲労の色が浮かびはじめる。  「そろそろ、終わりにしてあげようかしら」  「っ!!」  その宣言とともに、敵は望の背後から飛び出し、そのまま望に飛びかかろうとした。  それに気がつき、望は振り向くが避けるには遅すぎであると悟った。  その瞬間、砂浜の横の道の辺りから数本のナイフが飛んできた。  まさかの不意討ちに気づいた敵は、自らの鱗を盾にその攻撃を止めた。しかし、そのまま体勢を崩し砂浜に墜ちた。  「やはり、投げナイフだと弾かれるか……」  声がしたほうに望が振り向くと、そこにはモスグリーンのタンクトップに黒系のジーンズ、さらに革製のジャケットを羽織った茶髪のサラサラセミショートの青年が立っていた。
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