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海岸を望む窓から差し込む朝日が少年の顔を照らし、それに気づいた少年が目を覚ます。
その少年――次原望(つぎはらのぞむ)は身体を起こすと、眠い目をこすりながらカーテンを開ける
すると、見事なパノラマの湘南の海が飛び込んで来る。
本人は小学校入学のときにこの街に来てから毎日見ている光景なのだが、それから10年経ってもその壮大さに慣れないでいた。
そもそも、この街に来たのは親の趣味のせいである。
「望、まだ寝てるの?」
「今、行く……」
下から母親の呼ぶ声に応え、望は沈んだ気分で下に部屋を出る。
階段を降りていくなかで望は最近の謎を思い返していた。
昨日もオンラインゲームをしている最中、何度も画面や音にノイズが混じってくる。
そんなことは、数年前に思考制御インターフェース(=TUI)が爆発的に普及して以降、誰にでも起こりうることだが、彼の場合はここ数日ノイズに逢う頻度が多くなっている。
その悩みのせいで、望はなかなか寝付けないでいた。
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