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「望ー、迎えにきたぞー」
望が朝食を食べていると、玄関から妙にハイテンションな呼び声がした。
「なんでこんな時間に……」
「そりゃぁ月曜だもの、あたしは昨日から眠れなかった」
「小学生か!」
玄関に立っていたのは南国少女という言葉が似合いそうなショートカットの少女――北条つばめだった。
つばめの言葉に望は呆れながらも、思い出したように鞄を手に取り靴を履くと、つばめに引っ張られるように外へ出た。
見事に晴れ晴れしている空の下、学校が近づくにつれ、ただでさえハイテンションなつばめのテンションが上がっていくのに対し、望はずっと下り坂な気分になっていく。
「はぁぁ、行きたくないな……」
「どして?」
「わかってるだろ、僕がいつもどんな目に遭ってるか」
「大丈夫だって、『分の悪い賭けはひっくり返すためにある』って言うじゃない」
「今度は誰の台詞だよ……」
「昨日見た『ガン=カタ・ポリス』って海外ドラマで主人公が突入シーンの前に……、って聞いてないしっ!」
自分の世界に入りかけて語りだしたつばめを無視して、望はいつのまにか着いていた校門の中に入って行った。
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