54人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
透き通るような青空を望は屋上から眺めていた。
呆然と眺めていると、その空を海鳥が通過していく。
そして、回数を数えることさえ忘れた溜め息がまた出てきた。
そうしていると、いつも思っていることが頭をもたげる。
ゲームでの誰にでも慕われ頼られる人気プレイヤーとしての自分と、現実での気が弱く無理な要求に対してノーと言えない自分と。
正直、疲れていた。
いくらゲームの世界で人気や名声を手に入れていたとしても、それは結局仮想のものであり、そこに登場している自分はその世界で演じている存在。
わかっていることだった、そちらが本来在りたい自分であっても、時間といった現実の状態に全て左右される。
はっきり言って、現実に帰りたくなかった。
最初のコメントを投稿しよう!