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「どうしたら、いいんだろう……」
弱虫でいるのは嫌だ、そう思っていてもやり方がわからない、そのもどかしさを望はゲームでぶつけていた。
それでも、他人を放って置けない性格がネットの中で人望を得ていったことはわかっている。
その分、現実がさらに嫌になっていく。
力がある者が結局上に立つのだったら、それが現実の自分に欲しい。
それを望は願っていた。
その時だった、突然甲高い奇声と悲鳴が混じる音が下のほうから聞こえてきたのは。
しかも、その音はだんだん上に上がってきているようだった。
驚いた望が屋上の柵に駆け寄り見下ろすと、バラエティ番組で無理やり芸人を部屋から集団で連行するシーンでよく見かけるような連中が校舎の外で昼休みを満喫していた生徒達に襲い掛かっている様子が見えた。
「ど、どうなってるんだ!?」
「望!大変なことに……、ってもう知ってたの」
下で起きている事態に屋上の柵から望が離れられなくなっているところにつばめが入口から駆け込んできた。
それと同時に、つばめは近くの物を入口の扉に積み上げた。
彼女も下で起きている事態を知って望のもとに来たようだ。
「これって、ロケじゃないんだよね、本当なんだよね」
「本当のことだから知らせに来たのに」
つばめは息を切らしながら、望に答えた。
その瞬間、大きな物音とともに入口の扉が吹き飛んだ。
「ヤバい、もう追い付いて来たの……」
二人が振り返ると、そこには、さっき他の生徒を襲撃していた連中の集団がいた。
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