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屋上の両端に普通の高校生二人と得体のしれない連中が対峙する。
それは、傍から見れば異様な光景にしか映らなかった。
「大丈夫、望は下がってて」
つばめが望を抑えつつ二人は壁際の柵まで下がる。
その様子に、望は完全に申し訳なく思っていた。
普通、こういう場面なら男である自分が前に出るのがセオリーだと思う。
それなのに、現実はいつも何かしらを無理やり押し付けられて、それが終わったらまた別の要求をされてを繰り返す。
自分に断れるだけの力があったら、自分を主張できる力があったら……
「望、危ないっ!?」
「えっ、うわぁぁ!?」
追い詰められていたあまり、望は柵の金網が壊れていたことに気付かなかった。
つばめに声をかけられて気付いたときには鈍い音とともに金網が壊れて完全に屋上の縁ギリギリの位置に倒れ込んでしまった。
心配するつばめを無視して得体のしれない連中は望を追い詰めていく。
金網を伝って下がっていくうちに、完全に後がなくなったその瞬間、頭の中に声が聞こえたような気がした。
――力が欲しい?
答えは決まっていた……
――Yes
そう思った瞬間、望の周りを強烈な閃光が包み込んだ。
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