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瞬
「えっと、五十鈴 瞬ですよろしくお願いします。」
僕はその場で挨拶をして軽く頭を下げる。
葉月
「…冗談は顔だけにしてよ、瞬くん。」
僕ってそんな変な顔なのかな?
でも、向こうは僕の事知ってるみたいだ。
心当たりがない。
瞬
「…どちら様ですか?」
葉月
「…昔から人を覚えるのが苦手なのは、知ってだけど、ここまでとは…。」
店員は呆れた顔をして、はぁ、とため息をつき。
昔から?うーん…思い出せない。
葉月
「葉月だよ、10年前まで、君の家の隣に住んでた葉月。」
葉月?10年前?
…いた、僕の記憶の中に一人だけ思い当たる人がいたよ。
瞬
「あぁ、葉月だったんだ!女装なんかしてるからわからなかったよ!」
葉月は確かに10年前、僕の隣の家に住んでたし、同じ小学校に通っていた。
あの頃の葉月は活発だったから、夏休みは毎日カブトムシを一緒に取りに行ったっけ。
そんな懐かしい記憶。
葉月
「女装!?違う私は女!」
何を言っているのだろうか?
瞬
「だって、小学生の頃は年中、半袖半ズボンだったじゃないか。」
葉月
「あれは、お兄ちゃんのおさがりを着てただけ!」
瞬
「女の子だって言う証拠はないじゃないか。」
そういうことは証拠を見せてから言ってほしい。
葉月
「あぁ!もう!」
葉月はいきなり、僕の手をつかみ自分の胸を触らせてきた。
瞬
「……?」
葉月
「どう?私が女だってわかった?」
瞬
「いや、胸が平らだから。」
僕は発言した瞬間、恐ろしい程の殺気を感じた。
そして、葉月にグーで殴られた。
非常に痛かった。
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