カウントダウン

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「亜美さん、ドライだね」 「あのね、私達の仕事は災害直後からの救助と救命医療なの。 災害を予防したり避難誘導したりなんて、装備も技術も無いし、私達が余計な事をすれば反って混乱を招くわ。 人ってのは追い詰められれば藁でも掴むし、そして一度掴んだら離さない。 解る?迂闊に手を出すと、自分は避難者って事を上段に構えて、支援者にかしずく事すら求める人迄出てくる。 確かに私達はファーストイン・ラストアウトよ、でもそれが被災者の自立を阻害する要因に為っちゃいけない、だから提供するのは救助と医療と言う支援だけ。 私達は必要となるその時まで、船で待機してればいいのよ」 「そっか....」 「そうよ、覚えときなさい。 時には手を出さ無い覚悟も無いと、自分の脚がすくわれるわよ。 あの大震災でも、支援者の善意を逆手に取られ追い詰められて去ったなんて例は沢山有ったの。 確かに、被災するって事は大変な事だし尋常じゃない、でもそれを甘受させちゃいけないのよ。 さぁ、解ったなら早く自分の持ち場に行きなさい、もうすぐ出航よ」 気付くと既に荷積みも完了しており、関係者が慌ただしく乗船を開始している。 俺は挨拶もそこそこにタラッブをかけ降りると、はやての乗り込み口へ急いだ。 「谷口さん、やっと来ましたか。 到着したら操舵室までと、船長からです」
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